グーグルマップで見る史跡「新木場事件」



青姦(青カン)という言葉、ご存知ですか?

 青姦は「青空の下での性交」という説がありますが、夜に行っても「青姦」とされるを考えると、「青天井の下での性交」という説のほうに利がありそうです。

 ラブホテルが一般に普及する1965年代までは、日本の住宅事情の悪さもあって、若い男女が屋外で性行為に及ぶという選択肢はかなり存在していたようです。また、現在でも屋外の開放的なところのほうが窓のないホテルなどよりもよいという方もいます。また、カーセックスをされる方も社会の中に一定数いるでしょう。
 また古くは、現在にも残る暗闇祭りのルーツが元々「夜這い祭り」とも呼ばれていたそうです。昔は一般の男女参拝客はその祭りの期間だけ「暗闇の中での情交(夜這い)が許され、不特定多数の性交が可能だった」とされています。

 現代の社会において、青姦などの人から見られてしまう可能性のあるセックスはどの程度容認され、どの程度黙認され、どの程度処罰を受けるものなだと思いますか?

 そもそも、他人の前で裸になることについては、
 海外では、1ヶ月ほど前に自宅で全裸になっただけでも警察に通報されたという事件が米国で起こったり、(http://news.livedoor.com/article/detail/4413311/
スイスで全裸での登山に罰金を科す制度が今年の4月にできたりしています。
http://japan.techinsight.jp/2009/04/szk0904280452.html
 日本でも最近ではタレントのKさんが、公園で全裸になり、公然わいせつで逮捕されたことが記憶に新しいかと思われます(この事件については最終的に起訴猶予処分になりました。)

 裸になるだけでも、罪であるなら、青姦はさらなりと思われる方が少なくないと思われます。
 また、「青姦をする破廉恥なやつなんか死んでしまえ!」と暴言を吐く人も中にはいらっしゃるとおもいます。しかし、実際にそれが死刑になるような罪でないことは多くの方が理解していると思いますし、ましてや実際に自ら刑の執行の手を下す人はいないでしょう。
 ちなみに、法治国家である日本では、裁判に依らない私刑(個人間で、刑を執行すること)は禁止されています
 ちなみに、公衆の前での青姦は刑法第174条にある「公然わいせつ罪」に該当します。通報されれ、裁判にかけられれば「6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」になる可能性があります。しかし、あくまで「公然」わいせつですので、他人に見られない前提があれば、青姦をしても罪にはならないという弁護士さんもいます。(もちろん、青姦の性行為については基本的に和姦を指しています。)

 しかし、写真の夢の島公園夢の島緑道公園をはじめ、都内の数箇所の公園では、青姦中の人を襲う死傷事件が起こりました。被害者はいずれも男性同性愛者です。

 江東区にある新木場駅周辺はほとんど人が住んでいない地域となっています。
新木場1丁目は人口10人、新木場2丁目は人口16人、新木場三丁目は人口30人、新木場4丁目は人口3人。また、夢の島若洲については人口0人となっています。

 この地域で大きな敷地面積を持っているのが夢の島公園夢の島緑道公園です。
陸上競技場や熱帯植物園があるほか、辰巳国際水泳場も近く、昼間はそれなりに人通りがあるものの、夜間は駅前のバスターミナル以外ではまったくと言っていいほど人影のない地域となっています。



 男女のカップルと比べ、男男の場合だと、ラブホテルの入店が断られるケースや、店員からマジマジと奇異の目で見られることが未だ珍しいことではありません。
 また、自分が同性愛者であることをひた隠しにしている人、たとえ相手が自分と同じ同性愛者であったとしても自分について知られたくない、顔を見られたくないという場合もあります。恋人を作るわけでもなく、顔を知られぬセックスの相手を闇夜の中で探すということも珍しいことではない状況があります。また、顔を見られることに躊躇がない場合でも、暗闇の中での情交を求めて夜の公園に出向く人は少なくありません。(もちろん、暗闇の中で出会った人と恋仲になる場合もあるわけですが)

 そして、この新木場の公園の場合、夜間は駅をおりてから公園に出入りをする際に通行人に顔を見られたりすることも、公園内で一般の人の通行人に見られることもほとんどありません。夢の島公園は男性同性愛者にとっての「公然の場ではない」青カンのメッカ(ゲイ用語的には「野外ハッテンバ」)だったともいえます。

 その公園で2月10日午後11時、この都立夢の島緑道公園で男性(33)が殺害されました。この事件で逮捕されたのが、区立中学に通う少年(14)と都立定時制高校に通う少年(15)二人です。少年らは丸太などで被害者の頭や顔を殴りつけ殺害した上、現金8000円入りの財布を奪って逃走しました。

 また、2006年7月8日の午後9時頃、同区の夢の島総合運動場内の遊歩道で、衣服を着けずに歩いていた板橋区の男性(34)が殴る蹴るの暴行を受ける事件がありました。被害者は全治40日の重傷を負ったうえ、現金2万1000円を奪われました。この事件で逮捕されたのは都立高校生(18)ら少年4人。4人は「同性愛者なら、被害に遭っても警察に届けないと思った」と話していたとのことでした。

 同様な事件は過去、駒沢公園芦花公園でも起こっており、いずれも被害者が死亡しています。
また、死者が出ていなかったり、被害届が出ていないケースも多いといわれ、
ネットアンケート調査(http://park.y-cru.com/survey/CGI/gb_survey1.cgi?mode=list&link=0
でもさまざまな事件が起こっていることがわかります。

 なお、2006年の新木場での事件の後、異性愛者からはもちろんのこと、同性愛者当事者の中でも匿名掲示板や仮名のブログやSNSなどで「以前も同様な事件があったような場所に行くのが悪い」、「外でセックスをするようなことをするのも悪い」、「公共の場で裸になっていた人がそもそも軽犯罪法違反じゃないか」という意見がわっと、次々に上りました。
(もちろん、被害者を擁護する声も多々上りましたが。。。)


 あれから、3年間、史跡というには新しすぎる感じもしますが、
忘れてはいけない事件のひとつだと思い、とりあげることにしました。