「石」というギリシア語

lithos_082008-10-26


 このブログのタイトル「Lithos kulindomenos to pukos ou poiei」は(ギリシア文字をローマ文字に直してはいるものの、)
古典ギリシア語の諺からつけたタイトルなんです。

 でも、このタイトルは「どんな意味なの?」と聞かれることが多いので、ちょっとずつ、解説をしていきたいと思います。

 しっかりと学んだわけではないギリシア語なのですが自分の整理にもなるかと思って書き出してみることにしました。
(間違っている部分などがあったらごめんなさい。)

まず今回は単語「lithos」です。
古典ギリシア語の名詞は単数と複数で変化をするほかに、
格変化というものがあります。

男性名詞である lithosは、

(単数)
  主格「石が/石は」    lithos
  属格「石の」       lithou
  与格「石に/石のために」 lithō
  対格「石を」       lithon
  呼格「石よ!」      lithe

(複数)
  主格「石たちが/石たちは」lithoi
  属格「石たちの」     lithōn
  与格「石たちに」     lithois
  対格「石たちを」     lithous
  呼格「石たちよ!」    lithoi

 というような変化をするわけです。
 私のブログタイトルの最初の単語は 「lithos」ですので、この単語は「石は」という意味になります

 なお、英語の名詞においては語順において主格と目的格を区別するのに対して、ギリシア語の名詞は格変化によって、主格と目的格を区別します。
 
たとえば、英語であれば語順で主格か目的格かが決まるので、
「Aesop loves 」は イソップは愛する。
「loves Aesop」は イソップを愛する と言う意味になります。

しかし、古典ギリシア語では
「aisōpos philō 」も、「philō aisōpos」も、 イソップは愛する。という意味になります。
「aisōpon philō」や、「philō aisōpon」は イソップを愛する という意味になります。
(aisōposの語尾の格変化はlithosと同様。)

 なお、「kulindomenos」は「転がる」
    「to」は中性名詞のの主格の前に付く冠詞
    「pukos」は「海草」(中性名詞、単数、主格)
    「ou」は「ない」
    「poiei」は「作る」(動詞poieōの三人称単数現在形)
「lithos kulindomenos to pukos ou poiei」は「転がる石は海草が生えない(=転石苔を生やさず)」という意味になります。