HIVと情報発信(紙媒体2:陽性者の手記集 / イベント )

HIVに感染している人と一緒に生きよう!」ではなく、HIVを持ってる人も、そうじゃない人も、(検査を受けていなくてまだわからない人も)僕たちはもうすでに一緒に生きている!」というLiving Together計画のイベント中に、”Living  Together Lounge” と、 ”Living Together のど自慢”があります。

Living  Together Lounge は、 クラブイベントが連日開催されるハコでの、DJミュージック、さまざまなミュージシャンによるライブ、そしてお酒を楽しみつつ、数名のゲストが、HIV陽性者やその周囲の人たちが書いた手記の中から好きな手記テキストを選んで朗読し、自分なりのコメントを話すというもの。
( http://www.living-together.net/archive/lounge.html )

Living Together のど自慢”は ゲイバーにて、歌については素人なゲストが、カラオケを1曲歌い、
その上でHIV陽性者などが書いた手記の中から好きな手記を選んで朗読し、自分なりのコメントを話すというものです。
( http://www.living-together.net/archive/nodoziman.html )

 クラブやバーの雰囲気や、歌や音楽を楽しみつつも、HIVについて考えることができる。
また、単にHIV陽性者(=感染者)の体験談を聞くということではなく、HIV陽性者らが書いた手記を、ゲストが読み上げるということで、ワンクッションを置きつつも、陽性者が感じていることを対岸の火事としてではなく、身近なこととして、考えることができるというようになっています。

 読み上げる手記はaktaで配布している、「EASY!」や「REAL」といった手記集となっている冊子から数多く選ばれています。

 手記を読んだり、聞いたりするたびに、

 お店や電車で自分の隣に座った人がHIV陽性者かもしれないという時代。
 ただ、近いうちにこうと思いながらも、なかなかHIVの検査に足が向かない人も多い中、
自分の感染に気づいていない人も少なくない。 現実に向き合うのが怖くて検査に行けないという人も多いのだろう。(めんどうくさかったり、無関心な人はむしろ少ないのではないか。戦略研究首都圏グループのミッションは、このMSMグループがいかにして現実に向き合い、受け入れて行くことのサポートと促しが出来るかというところに在ると言えます。

 HIVに感染していることが分かっても薬を飲み続ければ、通院する以外は交友関係も生活も変わらない。中には、HIVに感染していることが明らかになったことで、自分がセックスをすることに臆病になってしまう人もいる。けれど、お互いに感染しているかどうかわからない相手とコンドームなしのセックスをする場合と比べると、HIVに感染していることが自分でわかっているならば、むしろ大切な人に病気を移さないように工夫をして、安全にセックスができるということでもある。(もちろん、その他の病気に、陽性者が重ねて感染させられるリスクをも軽減させることにもなります。)

 この、「EASY!」や「REAL」の冊子ではそれぞれ、冒頭に
HIVに感染している人もいるし、まだしていない人もいる。まだどっちかわからない人もいる。
…みんな仲良く、じゃなくっても一緒に生きていくのは大変だ。けど、そんな違いを受け入れて、何とか楽しくやってけないかな。」
 「誰もが暮らしやすい街って、どんなところだろう?
  この町で暮らしているHIV陽性者の人たちの語りや、ぼくたちのHIVをめぐる事実を集めてみました。 … 感染の不安を抱えていたり、すでにHIVをもって暮らしている人たちが生きやすい街というのは本当は誰もが暮らしやすい街なんじゃないかな。」

 ということが書かれています。

 一方で、いまなお発症することで感染が発覚し、そのまま治療が間に合わずに亡くなってしまうケースもあります。「カレシの元カノの元カレを、知っていますか」という、HIVの予防や検査を促進するコマーシャルがありました。もちろんそうした意識の啓発も必要ですが、私たちは、自分の友達や、すぐ隣にいる人、あるいは自分自身についても知らないのだということを忘れずにいなくてはいけないんだよなということを感じています。
 友達や、恋人・パートナー、そして自分がHIVに感染をしても、陽性か陰性かということにとらわれることなく、安心して暮らしやすい社会をデザインしていければいいなと思います。